「異端者たちの夜」の雑談掲示板です、雑談やイラストの投稿、管理者への質問などにお使いください。
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※2022年1月11日 追記
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同じく開けて頂けると助かります!
衣装簡略化・捏造有。問題あればお申し付けください。
僭越ながらこちらにも場所お借りします。
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@FA
何方か存じ上げませんがありがとうございます!!嬉しいです!!大切にします!
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四隅様すみません、今回に行けるかどうかは分かりません…、こちらから誘っておいて申し訳ありません…、急用の用事が現実で出来てしまって…、行けるとして十一時後半位になってしまうかと思います…、
スピンオフ的二次創作
『特務遊撃隊活動記録』第一話
術機……対魔術犯罪特殊急襲部隊“WIZARD”は警視庁公安部お抱えの特殊部隊だ。魔術師、魔術事件、人造触媒の回収など魔術に関する厄介事を引き受ける。その職務も決して楽なはずはなく、訓練と模擬戦、パトロールで疲弊した新人隊員、白鷺林は自身のデスクに身を預け、すっかり意気消沈していた。
「とくむゆーげきぶたい?」
そんな折、彼女に声をかけてきたのは同じ突撃班の先輩、星月夜藍良だ。
「マヌケな声と顔でアタシを抱腹絶倒させるつもりなら今のアンタは文化祭で一発芸を披露する高一エセ芸人よりも面白くない」
呆れたように見下ろす彼女は林よりも年下だが所属年数は彼女の方が長い。年上の林相手にも容赦を知らない彼女は1枚の書類を林の緩みきった顔に覆い被せてきた。
「何何……?!特務遊撃部隊?なんなの、コレ?」
紙を手に林は小首を傾げて聞いてきた。
「アタシも知らない。今からその概要について説明があるから。ほら、行くよ」
「イタタタッ?!耳引っ張らないでっす〜!」
藍良は半ば強引に林を連れて会議室へと向かうのだった。
第二話
「いいえ絶対絶対絶対ぜーったいかわいい女の子ですって!こうきっと一見クールで口数少なくて任務のためとか言って事務的に接してくるけど同じ仕事をこなすうちに絆されて私に甘えてきてついでにカッコよくて理知的で東大言ってそうなお兄さんを紹介してくれるに違いないです!」
「そんな子うちにいたかしらァ?アタシは断然苗我ちゃんよォ!支援、攻撃何でもできるし、それにすっごく良い子だものねェ。もしも来てくれらたァっぷりかわいがってあげるわァ♡」
会議室の扉を開けると密度の高い会話が繰り広げられていた。長い髪を横に束ねた女性と赤桃色の明るい髪色以上に横にも縦にも大きな性別不詳の女性。会話の内容からして次に来るのが誰か、どんな人かを予想しあっていたらしい。
「あれれ?ナルちゃん先輩に姐さんじゃないッスか!二人もここに呼ばれたんスか?」
林は二人の姿を見ると駆け寄り、サイドテールの女性とハイタッチを交わす。
「林ちゃんと藍良ちゃんだったかー!でもお姉さん的には二人とも可愛いから全然OKだよ!」
「なるほどねぇ。あんた達が選ばれたのかい」
マリオンは腕を組んで得心したように頷いた。
「何か知ってるの?」
藍良がぶっきらぼうに聞く。
「いいや?でも粗方察しはつくよ。答え合わせの時間にもなったようだしねぇ」
マリオンはそう言うと会議室のホワイトボードへと目を映した。
「へ?まだ誰も来てないッスよ?」
誰もいない空間を見るマリオンに首を傾げる林であったが、鳴宮も藍良も当たり前のように椅子に座り直してホワイトボードを見ていた。
「いいからあんたも座りなさい。『来る』よ」
マリオンが言い終わらない内にホワイトボードに置かれていたマジックペンが誰もいない中空を浮遊し始めた。キャップが抜かれ、それは真っ直ぐ唯一立っていた林の顔めがけて飛んできた。
「えっ!?にゃぁぁあ!?」
素っ頓狂な悲鳴を上げて顔を反らした林はそのまま倒れ込み、マジックペンは意思を持ったかのように林の顔に落書きをするのだった。
第三話
『皆様時間通りにお集まり頂き誠にありがとうございます。私は統括部の田中と申します。偽名ですが以後お見知りおきを。』
ホワイトボードに書かれたのは角ばった字体で、全員が読み終わったであろうタイミングに合わせて文字は消され新たにマジックペンがホワイトボードを走る。
「その前にッ!」
会議室の机を激しく叩いては、林は身を乗り出して自身の顔をホワイトボードへと近づけた。
「コレ本当に水性なんスよねェ?!油性だったらただじゃおかないッスよ?!」
林の顔には額に目立つように『肉』と書かれ、両頬に『バカ』『アホ』、口髭はもちろん、眉毛は繋げられ太くなっていた。全てマジックペンによる落書きである。
「しっかし……くふっ……派手にやられたねェ」
「アタシ……もう……我慢できなッァハハハハハハ!アンタ今なら合格だわ!抱腹絶倒ものね!」
「女の子の武器たる顔をこれ以上ないほどに汚す背徳感も、その屈辱に燃える姿もお姉さん大好きだわ!やってることがどこかの極悪非道魔人みたいだけど……」
何故か後半からトーンダウンする鳴宮を除いて二人は林の顔に堪えきれず笑い続けている。羞恥と憤怒で顔を真っ赤にするものだから更にその顔が面白く見えてしまうようだ。
『バカは放っておくとして本題に入ります』
トントンとマジックペンがホワイトボードを叩く。物を遠隔操作する一般魔術『Reaction』だろう。けれども会議室に入らず、姿も見せずにどうやって操作しているかは謎である。
『特務遊撃隊は新たに編成する小隊です。ベテランたる特別行動隊を中心に、各班から単身での戦闘に長けた者を配置して護送や夜会、鉄槌の撃退など通常は突撃、支援、狙撃などの役割を振り2部隊以上で行う作戦を1部隊で完結させる実験部隊です。』ホワイトボードに書かれる文字はあたかも高校の教師のように書いては消して書いては消してを繰り返す。やがて上記を伝え終わると林の寝息が静かな会議室に薄く響いた。
「ァアアアアア?!」
今度は椅子がひっくり返る。赤いマジックペンが颯爽と林の顔面を蹂躙し、これ以上何も書けないと思われていた顔面に大きく『ネボスケ』と上書きされた。
「ええっと、つまるところ私達、というか特務遊撃隊はより効率的な人員配置を行うために試験的に編成される部隊ということでいいんですか?」
鳴宮は手を上げつつ内容をまとめる。
『そうですね。鳴宮さんとマリオンさんは特別行動部隊としての豊富な経験があります。藍良さんは単身で夜会の構成員を相手取る実力があります。バカはデコイとしては優秀です』
「デコイとしてはって何スか!!」
憤慨する林を横目にホワイトボードに書き込みが続く。
『今回のミーティングは突撃班から選抜された方々のみでしたが後日支援、狙撃班から選抜された方々との合同ミーティングを予定しています。各自平常業務をこなしていてください』
「「「「了解!」」」」
その後は日時の調節や具体的な方針、行動などについての細かな説明が入る。ちなみにこの間で林は3回うたた寝した。どうなったかは言わずもがなである。
第四話
『よく揃ってくれました。皆様のご協力に深い感謝を。林さんも今日は落書きされずにすみましたね。チッ』
今日は選抜された特務遊撃部隊の顔合わせであり、初作戦のミーティングである。といっても狙撃班、支援班からはそれぞれ1名ずつ選出されたため計6人だ。
「わざわざ舌打ちを書くなッスー!」
二人のやり取りにもすっかり慣れてしまった様子で他の5人はホワイトボードの返信を待つ。
『改めまして私の方から紹介していきます。突撃班より鳴宮梓さん、マリオン・スミスさん、藍良さん、白鷺林さん』
「よろしくねー!絶対彼氏募集中!」
「気軽に姐さんでもお母さんでもいいからねぇ〜」
「……よろしく」
「よろしくどうもッス〜!」
名前の書かれた順に挨拶をする。
『狙撃班からは栞雲母さん』
「お、お役に立てるよう頑張ります!はい!」
栞雲母(しおりきらら)。狙撃班の新人であり、非魔術師だ。『魔弾の魔女』の人造触媒を使用している。キラキラネームとは裏腹に黒い髪に緑縁の丸眼鏡。典型的な地味っ子という印象である。
『そして支援班からは土御門明羅さん』
「先祖代々続く陰陽師の家系だ。よろしく頼むよ」
土御門明羅(つちみかどあきら)。支援班のベテラン隊員であり、魔術師を多々輩出する家系だ。固有魔術である『陰陽道』だけでなく、様々な一般魔術を扱う支援、戦闘のスペシャリスト。支援班に身を置くのも老体を配慮してのことらしい。
『以上が特務遊撃隊のメンバーです。皆様改めてよろしくお願いします』
ホワイトボードの文字は間髪入れずに次の話題へと移る。
『さて、それでは特務遊撃隊の初作戦について説明を行います』
今度はホワイトボードに書くのではなく、どこかから作戦についての資料が飛んできた。文字通り飛んできた。
「ちょっ、待って、止めろッスー!」
林だけは細長く丸まれた資料に何度も叩かれていた。
「うーん、あれは訴えて良いレベル」
「司法を取り締まるとこから来てるから無理そうだけどね」
誰ともしれぬ呆れたため息が会議室に流れていった。
特務遊撃部隊、最初の任務は護送任務だ。中央警察病院の人造触媒を『金枝』……魔術触媒研究センターに輸送する任務である。人造触媒というだけあって鉄槌だけでなく夜会や他の魔術テロリストから狙われる危険性がある。尤も人造触媒そのものが機密レベルで厳重に管理されているため護送任務といいつつも実際は攻撃されることは殆どない。
「有り体に言えば初めましての仲良し会ってことだねぇ」
得心したようにマリオンは頷く。
「要は楽な任務ってことッスよね!ラッキーっす!」
「……絶対フラグだこれ」
喜ぶ林と不安を感じる藍良。彼女達の言葉のどちらが正しいか、それは当日にならねば分からないだろう。
某所。
「燃えるッ!萌えるッ!燃え萌えですぞーッ!!拙者推しのためならばッ!この身を投げうち憎っくき術機のプライドをどどどーんとへし折るでござるゥッ!!」
前述の結果を、火を見るより明らかにしそうな男の声が館中に鳴り響いていた。
第五話
作戦当日。特務遊撃隊の一行は中央警察病院にいた。術機所有のハイエースを前に人造触媒の受け渡しが行われている。
「金枝に提供する人造触媒だ。知っての通り人造触媒は適合する人間が持つことで並みの魔術師をも凌駕する技能を授ける反面、適合しない人間が行使しようとすると最悪死に至る。君達は術機の精鋭と聞いたから安全性は高いと推察するが万が一この人造触媒を紛失、強奪された場合は理由の如何に問わず君達引いては術機全体の信用に疵がつくものと思い給え。けれども私とて鬼ではない。そも私に出来ないことを他者に押し付けるという行為は……」
かれこれ十分ほど彼等の目の前にいる人物は話し続ける。明日暮路加は中央警察病院、その魔術医療部の統括責任者……の代理である。現統括者が出張で大阪に滞在しているため、彼女が代わりに人造触媒の受け渡しを行っているのだ。
「……以上だ。君達の健闘を祈る。一応聞いておくが何か質問はあるかね?」
「はい!はーい!」
相変わらず元気だけはすこぶる良好な林が率先して手を挙げる。
「ではそこの君。何を聞きたいのかね?くだらない質問なら……」
「先生っていくつなんスか?!」
恐らくは部隊の全員が考えていそうで言うに言えない質問を彼女は口に出した。明日暮の容姿は確かに中学生ほどに見える。150cm未満の身長に垢抜けない幼さのあふれる顔立ち。その肩書きと白衣にはあまりにも不相応な彼女の年齢が気にならないものはいないだろう。
「女性の年齢を聞くというのは世間一般的な常識、モラルというものに反するぞ、赤髪の単細胞君。確かに私の容姿から年齢について疑問に思うことは当然だが況んや私が容姿に対するコンプレックスを持っていれば君は私に精神的に多大な負荷を与えていた可能性がある。兎にも角にも私と君は別個体であり、成長、成熟には個人によって大小様々な誤差が生じる。だから君の質問にはこう答えておくとしよう。私は俗に言う大人と定義される年齢だ」
「お、おおう……そうなんスね」
これぞまさに理論防壁。明日暮の言葉にさしもの林も何も言えないようだった。
「お喋りはそこまでに。時間だ」
土御門の柔らかい、それでいてどこか怒っているような静かな低い声がハイエースの中から響く。気付けば林以外の隊員は皆車に乗っていた。
「わわっ!了解っす!」
林も慌てて車へと乗り込む。後部座席に腰を下ろし、そうして明日暮の方へと再び目線を向けた。
「……どうかしたか?」
「先生、いつもお世話になってるっす!」
そう言いながら林を載せたハイエースは中央警察病院の地下特別駐車場から走り去っていった。
「……全く。まあいい。君の『お友達』にそう伝えておこう」
恐らくは林と明日暮にしか分からぬこの会話。普段は長話が癖になっている彼女にしては珍しくそう短く締め括った。
第六話
「リン、準備はできてるから早くして」
「了解っすよー!」
ハイエースの中。一般道を走りながら林はハイエースの窓から腕を出す。藍良もまた反対側の後部座席から手を出して互いの顔を見やる。
「行くっすよー!『長城』!」
「『stealth』!」
林の腕に盾が展開される。林の固有魔術『アイギス』は盾を生み出す魔術だ。そして『長城』はそんな盾を大きくし、防御力もそれに伴って強大になる。彼女達の作戦は林の盾でハイエースを護るというものである。しかし林で防護した車など目立つし格好の的であろう。故に『stealth』だ。一般魔術であるこの魔術は対象を透明化させることができる。けれどその持続時間にも限界があり、解除後は再使用まで時間がかかる。そのため藍良を含め他のメンバーが交代で透明化を行うことで盾を隠すのだ。
「最後は俺だ」
仕上げは土御門。彼の固有魔術『陰陽道』は一般魔術を変化させる魔術だ。しかしその効果を強くしたり弱くしたりするわけではなく、メリットとデメリットを入れ替えたり効果と魔力消費を調節するのみである。例えば彼が仕上げとして使ったのは『stealth』を変化させたものだ。対象の魔素を隠してしまう代わりに視覚的変化は起きない。魔素をも探知する一般魔術『Finder』や『See』などへの対策というわけだ。魔力消費量も通常の『stealth』よりも比較的少ないため長時間の使用が可能である。
「これこそプランα……『IDO作戦』です!はい!」
最後部の座席からスナイパーライフル片手に眼鏡を輝かせる雲母。なんだかとても楽しそうである。
「快適なドライブになることを祈ってるわァ」
「ハハッ。僕も地獄のドライブで天国に行くことにならないと願いたいね」
運転するマリオンと助手席の土御門は気が合うのか談笑している。
「そういえば鳴宮さん今日はやけに静かッスね」
林が鳴宮へと目線を向ける。鳴宮は後部座席に藍良と林に挟まれる形で座っている。けれども彼女の様子は芳しくなく、何故か微動だにすることなくフロントガラスを虚ろに眺めていた。
「……リンちゃん」
「な、なんスか?」
ただならぬ雰囲気に林は硬直する。鳴宮は任務の時には普段とは違う雰囲気を纏うのか。林は先輩の任務に対する姿勢に尊敬の念を……
「吐きそう……」
その一言が叩き潰した。
第七話
「ちょぉぉぉぉっとぉぉぉ?!」
藍良の今まで聞いたことのないような絶叫が車内に響いた。
「ごめんね……本当は乗り物酔いする体質じゃないんだけど実は初任務だし景気付けにと思ってさっきねぎとろ牛丼にんにくマシマシスペシャル(1800円)を……」
「よりにもよって一番地獄絵図になるもの食べちゃってるじゃないッスかー?!」
林も藍良も顔面蒼白。雲母に至ってはシートの背もたれに体を埋めるように距離を取ろうとしていた。
「これ術機の備品よォ?!土御門さん何かエチケット袋とかそういう物や魔術はないかしらァ!?」
マリオンは運転しているため後ろを見ることができないがそれ故に尚更緊迫している。
「うっ……もう……無理……」
もはや喋るのも限界な鳴宮。土御門は、
「仕方ない、奥の手です!」
そう言うと懐から一枚の御札を取り出して鳴宮に貼り付けた。
刹那、鳴宮は消えた。車内から忽然と姿を消したのだ。
「えええぇ?!鳴宮先輩が消えちゃったっす〜?!」
「案ずるな。僕の魔術で彼女を転移させたんだ」
土御門が使ったのは一般魔術『telepote』を固有魔術で改変した『神隠し』だ。通常この一般魔術は使用者、つまり土御門本人が念じた場所へ向かうものだが『神隠し』はその御札を所持している者の希望する場所へ向かうことができる。つまり、発動難易度や消費する魔素の量が高い『telepote』を一般人でも扱うことができる。ただし土御門自身の魔素は消費されるため注意が必要だ。
「それで鳴宮さんどこ行ったの?」
「およ?通知が来たっすよ!」
林がスマホを開くとSNSに鳴宮のメッセージが届いていた。どうやら最寄りのコンビニのトイレに転移されたらしい。
「仕方ないわねぇ。一旦そこのコンビニに車を止めるからあなた達も何か欲しいものがあったら今の内に買っときなさいね」
マリオンはそう言うと鳴宮が転送されたらしいコンビニの駐車場に移動した。
第八話
「……盾開けて。出れない」
「あ、了解っすー」
煩わしそうに藍良が林を向いて言う。現在林の盾は車を覆うように展開されている。林は彼女の言葉に従って盾を縮小させて車のドアを開けられるようにした。
「あ、あの……私も出たいです」
雲母がオドオドした様子で小さく手を挙げて、
「じゃあアタシも缶コーヒーか何か買ってこようかしらねぇ」
マリオンもそれに続き、結果としてコンビニに3人向かっていった。
「暇……っすねぇ」
残ったのは車両、人造触媒を守る盾を展開する林と、
「そうだね。ちょっとした休憩みたいなもの……いや、君にとっては休まらないか」
護衛する人造触媒を所持する土御門。通常人造触媒は魔術師と適応することはない。だが彼の持つ人造触媒を入れたその箱は魔素を遮断する物だ。それによって魔術師であっても長時間の所持が可能になるらしい。
「自分のことはお気になさらずっす!寧ろ土御門さんに聞きたいことが満載っすよ!」
「ハハハ。こんなおじさんに聞くことなんて……」
談笑の途中、土御門の言葉が止まる。目を細め、外を睨む様子は尋常ではい。林もそれに気付いた。それと同時にその理由にも察しがついたらしい。
「……敵っすか?」
「ああ。僕達はたった今、攻撃された」
その言葉の直後、彼らの車両の下、地面が無くなる。正確には突然できた穴に車が落下しているのだ。
「はわわわわわわぁぁぁあ?!」
「くっ……!」
戸惑う林と落下の衝撃を緩和させようと試みる土御門。彼等の落下地点、その付近には不敵に笑う男がいた。
一方その頃、トイレの中でも戦いが起ころうとしていた。
「なーんでこうなっちゃうかなぁ……?」
鳴宮はハンカチで手を拭いながら、トイレ前の扉を立ち塞ぐ人物へ目を向けた。
『しゅこー……しゅこー……』
相手の姿は異常だった。全身を宇宙服のような装備で覆っている。それはまるで深海を調査するダイバーのような重装備で酸素タンクで呼吸しているからか言葉の代わりに大仰な呼吸音だけが聞こえる。
「変な格好してバッカみたい!私のこと知ってるか分からないけどそんな装備したって私には全身タイツ着てるのとそう変わらないんだからね!どこの誰だか知らないけど、ここで私の前に立ちはだかるならあなたは敵!ここで倒すから!」
拳を構え、彼女はダイバーのような人をにらみつける。鳴宮の固有魔術ならばその装備を粉々になるまで叩き潰すことは可能だ。けれどもその者は臆することなくどこからともなくプラカードを取り出すとそれを彼女へと見せた。曰く、
『変な格好とは失礼な。これは正装だよ、レディ』
「正装?何言って……え?」
彼女がその言葉を言い終わる前に彼女は足に伝わる感触で気付いた。冷たい。水だ。床から水が湧いていた。
「まさか、あなたの魔術って……」
『この空間は隔絶されている。脱出するには私を倒すしかないぞ』
プラカードを再び彼女へ見せる。しかしその前に彼女は動いていた。
床を蹴り、真っ直ぐ目の前の魔術師へ向かう。水で満たされる前に仕留めるつもりなのだろう。けれどもダイバーの魔術師は動く気配を見せない。いや、プラカードを持つ手を軽く捻ってプラカードを回転させた。裏面に書かれていたのは、
『私は《水槽の魔術師》ネモ。君の攻撃は無駄だ』
彼女の拳が届く前に彼女達の空間を水が満たした。
第九話
「何よ、あなた達。今日はハロウィンだったかしらぁ?」
コンビニに入った三人は奇妙な格好をした二人を見つけた。
大きなピエロの被り物をした男と脂汗を額に浮かべて荒い息遣いをする男。ピエロの男は痩身でスーツ姿だが荒い息遣いの男は巨漢で背中にはその巨漢でもはみ出すほどに大きなリュックサックを背負っている。
「なあ、同志〜。やはり拙者の言うとおりでござったろう〜?」
巨漢の男は間延びした声に独特の口調で隣のピエロに話しかけた。
「これで賭けは僕の負けか。煩わしい……」
掠れた声のピエロはそう呟き、忌々しそうに仮面の奥から巨漢を睨みつけた。
「フホォー!約束通り殺した女共は拙者が頂くでござるよ!デュフフ……特にあのツインテJSだけはなるべく傷つけることなくぅ……」
巨漢が言い終わらぬうちに背後のスチール缶が一斉に彼へ襲いかかる。けれどもそれらは四散し中身もまた彼らを避けるように周囲へ飛び散るのみであった。
「今アタシのこと言ってた?答えなくて結構。アンタ等がイカれた童貞魔術師ってのはよく分かったから」
「夜会か鉄槌か……はたまた他の組織は知らないけどォ?女の子傷付けて楽しもうとするクソ野郎を野放しにはできないわねぇ」
「お二人とも援護は任せてください。生憎ライフルは持ち合わせてないですが……はい」
三人の判断は早かった。目の前の二人のただならぬ雰囲気を察知し、素早く臨戦態勢に入る。
両者一触即発。
先に火蓋を切ったのは巨漢だった。ズボンから拳銃を取り出し、発砲する。
「雑魚確定」
藍良の固有魔術は自在に磁力を操る。射程は20メートルほどであり、その範囲内の金属を引き寄せ、意のままに操作することができるのだ。先程巨漢に向かってきたスチール缶も彼女によるものであろう。彼女は向かう銃弾を反らし、ついでに巨漢の持つ拳銃も奪うつもりのようだ。しかし、
「ァ……?!痛っ!」
銃弾は反れることなく彼女の右肩に着弾した。鈍い音ともに彼女は右肩に左手を当て倒れる。
「藍良ちゃん?!」
「大丈夫ですか?!」
彼等へ注意を向けつつもマリオンと雲母は彼女へ声をかける。
「これ……もしかしてゴム弾?」
マリオンが床に落ちた銃弾を見る。確かにゴム弾ならば藍良が操れなかったのにも説明が付く。
「でもゴム弾なら致命傷にはなりません……はい。なぜ藍良さんの魔術を知っているのか定かではないですが藍良さんを警戒するあまり本末転倒というわけですね……はい」
珍しく口数の多い雲母。けれどもそれは事実。とてもじゃないが魔術師三人を相手にゴム弾で対抗するのは無理があるだろう。
「フホォー!地味子たん解説あざっす〜!ではどうしてわざわざそんな弾を使ったと思うでござるか〜ッ!?」
喜々とした表情で嗤う男。マリオンは未だに立ち上がらない藍良の方を見た。
「藍良……ちゃん?」
「痛い……痛い……ッ!」
俯く藍良は肩を抑えた手を震わせ、つぶやいていた。
「さっきからずっとさァ……痛みが……引かないッ!まるで今まさにゴム弾が命中し続けてるみたいにッ!」
藍良は額に脂汗を浮かべ、本能的に目には涙が浮かんでいた。歯を食いしばり、息も荒い。
「そうッ!それこそが拙者、《加虐の魔術師》ガロン・エインウーズの固有魔術ッ!痛覚の最大状態を固定し継続するのでござるッ!」
そう言ってガロンは立て続けにゴム弾を放つ。
「悪いけど借りるわァ!」
マリオンは近くにあったレジに手を触れる。レジはあたかもスライムのように形を変え、彼女達を守る薄い鉄板へと変化した。マリオンの固有魔術は金属の形状変化。細々としたものを変化させるのは難しいが大雑把な形、大きさに変えることならお茶の子さいさいである。
「フホォー!なるほどなるほどそういう魔術でござるかァ?ならばならばのぉー…… 」
「ソレはまだ取っておけ。ここからはオレがやる……」
ピエロの男がガロンを制する。彼は不満げな顔を見せるもピエロの言うことに従い、拳銃を下ろした。
「出し惜しみィ……?嘗めてくれるわねェ!」
マリオンは先程藍良が引き寄せ四散させられたスチール缶を鏃に変えて放つ。けれどもそれらは薄いパネルのようなものに阻まれてしまった。
「オレは秘密主義だ。故に所属は言わない。しかしこれだけは言っておこう。お前らはうちの組織の誰よりも、弱い」
ピエロの男がそう言うとパネルは液状化し、マリオン達へと襲いかかる。液状化したそれらは鉄板をうねり、乗り越え、彼女等へとにじりよる。液状化したそれらは先程のパネルのように、けれども今度は複数の刃へと変わり放射状に飛んでくる。
命中したかに思われた刃は見えない何かに弾かれるようにあらぬ方向へと進路を変えた。
「液体の時は無理ですが、固体になった時なら何とかなります……はい!」
「ありがとう、雲母ちゃん!」
弾いたのは雲母のようで、何をどうしたのかは二人にも分からない。けれどもマリオンは頼りになると言わんばかりに微笑みを送った。
「甘い……それだからお前らは魔宴も止められなかったんだ」
弾いたはずの刃は液状化し、再び刃へ変わると彼女達へ向かってくる。
「だまらっしゃいッ!」
雲母の声が一段と強くなり、再び刃を弾こうとする。けれども刃は弾かれる前に一度液状化すると再び刃へと戻る。そうして弾かれるのを防いだらしい。
「同じ手は二度も食らわない。これで終いか。呆気ないな」
掠れた声のピエロは煽る。刃は彼女達を抉らんと距離を縮める。
「ッラァ!!」
野太い声と共に鉄板が形状を変えた。横に三等分したそれらは彼女達の周囲を回転し刃をすんでの所で跳ね返した。
「その物言い……魔宴を憎んで鉄槌に入った奴じゃぁないわねェ。アンタ達、夜会でしょ?」
「だーいせーかいですぞぉ〜!」
ガロンは何故か身を震わせて歓喜に満ち溢れた表情を作る。
「はぁ……自分から正体を表す馬鹿がどこにいる。嗚呼、ここにいたな」
呆れたようにピエロは項垂れ、顔を上げると、
「まあ、これから死ぬ奴等に言ったところで意味はないか」
刹那、周囲の何もかもが動き出した。レジのビニール袋もおにぎりや食品のビニールもプラスチック製の商品や飾り、棚の一部などビニールやプラスチックが次々と液状化して彼女達を取り囲む。
「最期は派手に行こうでござる〜!」
ケタケタとガロンは笑いながらリュックサックを高らかに投げる。天井付近まで上がったそれらはピエロの刃によって破れた。天井から振り落ちるのは赤黒い粉末。それは唐辛子や胡椒、その他刺激物をふんだんに混ぜ込んだガロン特製の『激痛の雨』だ。辛いというのは痛覚である。ガロンの固有魔術を考えれば全身にこれらを浴びてしまえば耐え難い激痛を受け続けることになるだろう。果てなく続く地獄のような痛覚は、どんなに強い精神力を持ってようとショック死してしまうはずだ。
「やれやれ……まあ手早く片付くならそれに越したことはないか」
彼女達を取り囲むそれらは油。ピエロの固有魔術は油を操る。自分達の周囲に皮膜を作ることで粉末を防ぎ、同時にプラスチックやビニールから得た大量の油をプラスチックの刃に変えて彼女達へと打ち放つ。全方位を取り囲むプラスチックの刃と、頭上から振り落ちる死の粉末。それはマリオンと雲母だけで防ぐことができるものではない。
「何て様ッ……!」
マリオンは顔を歪め、悔しそうに呟いた。
第十話
一方こちらの顛末はあまりに呆気なく。
「すみませんでしたァ!ワガハイ雇われただけでして……!何卒!何卒お慈悲をォ!!」
「はいはい。話は術機(ウチ)で聞きますから……ね!」
「へぶしッ?!」
鳴宮は呆れたように言っては冴えないハゲ男を殴り気絶させる。なぜこうなったのか。事はトイレ前の小部屋が水で満たされるところまで遡る。
「(水中じゃ私の魔術は殆ど通じない……どうしたものかな)」
相変わらずプラカードを持つ宇宙服のような男は体を震わせまるで笑っているように見える。この固有魔術は一般魔術『Water』の派生強化版のようなものなのだろう。『Water』はその自由度の高さから固有魔術に発展系が多々存在する。男……ネモは新たなプラカードを提示した。
『さて、質問だが君は活け造りと煮物とどちらを希望する?ちなみに私はネギトロが好きだ』
暗にどのような殺し方がいいか聞いているのだろうが、最後の一文は余計だっただろう。
「(ネギトロネギトロ……私はネギトロに呪いでもかけられてんるのかなァ?!そりゃ確かに葱にもトロにも怨み持たれて仕方ないけど!というかネギトロのネギって本当に葱のことなのかな?私が食べたやつ葱入ってなかったと思うけど)」
イマイチ怒っているように見えないが彼女の闘志に火が付いたのは確かなようで。
『ここには武器になるものもない。君のお得意の怪力魔術も水中では意味を成さない。詰みなのだよ、君は』
新たなプラカードを提示するネモ。けれども鳴宮は呼吸を落ち着かせ、体内の少ない酸素の中、冷静さを取り戻す。
「(あっ……)」
彼女は思い出したように懐から拳銃を取り出した。発砲。空気の膜を張りながら銃弾は水中を飛び、宇宙服の男の顔面、そのガラスに穴を開けた。水中でも銃弾は数メートルほどは速度を保ち続ける。この小部屋は狭く、二人の距離も2メートルほどしか離れていないのが功を奏したのだろう。
『!?』
予想外の攻撃だったのか、ネモはプラカードで驚きを表し、慌てて手で割れた箇所を覆う。けれども視界を自らの手で奪ったことで鳴宮は立て続けに発砲、彼の四肢を撃ち抜いた。彼の纏う服はそれなりに強度はあったからか、銃弾は彼の体に強烈な打撲痕を残すに留まる。けれども身動きの取れなくなった彼に鳴宮は『Bind』……拘束する一般魔術を施し、彼の酸素タンクとシュノーケルを奪った。
「死にたくなかったらこの魔術を解除しなさい」
拳銃を彼の眉間に当て、鳴宮は目で訴えた。
そうして今に至る。彼は固有魔術を解除し、鳴宮は彼を銃床で昏倒させ、捕縛したのだ。
「まさか飛んだ先のトイレで襲われるなんて……。リンちゃん達は大丈夫かな?」
ネモを引きずりながら小部屋の扉を開けた鳴宮の目に移るのは、燃え盛る炎とのたうち回る二人の男だった。
第十一話
「ふむ。どうやら賭けは"パパ"の勝ちらしいね。なんちゃって……ハハッ」
乾いた笑いで締めくくられたその台詞。マリオン、雲母は場違いに呑気なその言葉に増援を警戒した。しかしすぐにマリオンは歪めていたその顔を、驚きから微笑みへと変遷させていた。
ガラスの扉を融解し、マリオン達の背後から飛び込んできたのは爆炎の奔流。プラスチックを焼き払い、死の粉末を灰燼に帰す。金属の盾を展開していたマリオン達に炎は届くことなく、代わりに彼等の目前にいた二人の男へと奔流は牙を剥いた。彼等は防御機能として油の皮膜を張っている。故に炎は油によって威力を増して内部の彼等を包み込む。
「燃えッ萌えッ燃えぇぇぇぇぇぇぇ?!」
「バカなッ!炎使いはッ!いな…ッ!はずぅぎゃぁぁぁぁあ!!!」
野太い悲鳴と掠れた絶叫が響き渡る。さしずめゴキブリホイホイに火をつけた時のゴキブリのように醜い断末魔だ。その断末魔さえも炎が飲み込んだ時、ようやく炎はその勢いを止めた。
「マリオン、大丈夫かい?君程の人物をここまで追い詰めるなんて余程の手練だったようだね」
融解し、中央を見るも無惨に消し去られた扉から入ってきたのは年端もいかぬ金髪の少女だった。見た目に似合わぬ理知的な振る舞いはあたかもどこかの統括責任者代理を思わせる。
「助かったわ、ヴェルちゃん。お礼にお母さんがハグしてあ」
「ヴェルちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
マリオンの軽口を遮るようにヴェルと呼ばれた少女へ鳴宮が飛びついた。彼女を抱き締めた鳴宮はその勢いのままコンビニの壁を破壊する。ヴェルは鳴宮が守ったようで、その鳴宮も固有魔術によるものか無傷である。
「アズサ、ステイ。アズサ、オスワリ。Sit down! Chill!」
途中まで冷静に対応しようとしたヴェルだったが鳴宮によるホールド、スリスリ、ナデナデ、ヨチヨチに耐えられなくなったのか本場仕込みの発音で彼女を放そうとする。
「ハッ!ごめん、ヴェルちゃん!久しぶりに会えたから嬉しくてつい手を出してしまいました私のような汚い大人がヴェルちゃんみたいなピュアピュアおジ○魔女美少女を抱き締めてあまつさえあんなことこんなことできたらいいなできちゃったよなんてしたらもうこれは犯罪だよねごめんねヴェルちゃんちょっと私自首してくる!!」
「鳴宮さん、ストップ。任務忘れないでよ」
息継ぎすることなく喋り倒しながら鳴宮はヴェルを放して警察署に向かおうとする。その鳴宮の手を掴んで必死に止めるのはガロンの固有魔術が解除されて動けるようになった藍良だった。
「藍良さん、動けるようになったんですね!良かったです……はい!」
雲母が安堵したのかその場に腰を下ろして胸をなでおろす。
「……アズサ。HENTAIにならなければ、うん、抱き締めるくらいは許す。でも他のことに関しては次やったら許さないからね。セクハラは同性でも成立すること、忘れないでね」
「ごめんねぇぇぇヴェルちゃん……嫌いにならないでぇ〜!」
泣き付く鳴宮に一同が呆れる。
「……ねぇ。アイツ等どこ行ったのかしら?!」
マリオンがコンビニ内を見渡した。そこには焦げ、破片やら灰やらが無惨に転がるだけ。先程まで倒れていたピエロやガロンがいないのだ。加えて鳴宮が拘束したはずのネモも姿を消している。
「いつの間に……?!」
狼狽する一同。まるで煙のようにいなくなった彼らを探そうとした彼等はようやく駐車場の穴に気付いた。そう、それは林と土御門が車ごと呑まれた穴である。
「そんな……」
混乱するマリオンの呟き。けれども穴の下から徐々に声が聞こえてきた。
「おーい!」
それは林だった。車に乗ってまるでエレベーターのように上がってくる。一同が呆然とする中前の座席の窓を明けて土御門が姿を見せる。
「二人とも無事だったんだ」
藍良の問いかけに二人はニコリと笑みを溢す。
「土御門さんが凄かったんスよ!もう何かバーンとなってドーンとなってズタタンとしちゃったんス!!」
「うん、分かんないわ」
要領を得ない林の説明に呆れたように溜息をつく藍良。
「この様子から察するにやはり君達も襲撃を受けたか。みんな無事で何よりだ」
微笑む土御門。その手に持つ御札はどうやら『Fly』を発動中らしい。
「トランクに術者を乗せている。一応捕縛しているけれど……」
「つ、土御門さん!アイツいなくなってるッスよ?!」
「何だって?!」
「やっぱりね……」
彼等が戦った術者もまた消えている。
「一体どういうことッスか〜?!」
混乱する林にコンビニ内で起こったことを軽く説明する。そうして一同が落ち着きを見せたところで鳴宮が首を傾げてヴェルへと目をやった。
「にしてもどうしてヴェルちゃんがここに?」
「その件なんだが……」
ヴェルは言うのを躊躇うように視線を逸し、意を決して特務遊撃隊全員の前で言った。
「この中に、裏切り者がいるかもしれないんだ」
十二話
「裏切り者……!?」
真っ先に反応したのはマリオンと鳴宮だった。何かを思い出すように二人の周囲の魔素が乱れる。
「落ち着いて、二人共。私はある情報筋から今回の襲撃を知った。だから助けに来た」
簡潔に説明するヴェル。
「でも確かに……不可解な点が多いです……はい。鳴宮さんが偶然テレポートしたコンビニに敵魔術師が四人も待ち伏せしていたこと、私達の固有魔術が知られていたこと、この任務の情報が漏れていたこと……内通者がいないと成立しないことばかりです……はい」
顎に手を当て一連の出来事を振り返る雲母。トイレの小部屋では鳴宮の固有魔術が大きくそがれる水中戦、コンビニ内ではゴム弾やプラスチックを使う魔術師に磁力を操る藍良、金属を変化させるマリオン。いずれも相性が悪い。まるで仕組まれたようだった。
「そういえばアイツら、賭けがどうのこうの言ってたわね。私達がここに来ること、まるで予測してるみたいだった」
「そんな……ッ!みんな仲間ッスよ!?裏切る人なんているわけ……」
訝しむ藍良に戸惑う林。
「……元はと言えば鳴宮さんが吐き気を催したことが発端ですよね……はい」
「けれども彼女をテレポートさせたのは実質私だ」
「確かに私は悪いけど、でも本当に私何も知らないよ?私は絶対に術機を裏切るなんて……アイツだって」
「止めなさいッ!」
疑心暗鬼に陥るメンバーを、マリオンの怒号が止めた。
「猜疑心に苛まれるのは分かるが君達の任務は人造触媒の護送なのだろう?ならばそちらを優先するべきだ」
ヴェルは極めて冷静に彼女達を諌める。
「そう、だよね……。まずはこれをちゃんと届けよう」
「また、襲撃に合わない保証はないのにですか?」
俯く鳴宮、尚も疑いの目を向ける雲母。
「その時は自分が皆を守るッス!」
「とにかく先を急ぐのが先決。疑い合ってたって何も始まらない」
不安な心を隠して前だけを見ようとする林、うんざりした様子の藍良。
それぞれが想い思いにやきもきする中、バラバラながらも護送任務は継続された。
第十三話
「ここが【金枝】ッスかぁー……」
彼等を乗せた車は某所の建物内へと入った。正確にはその地下駐車場に。
車の扉を開け、全員が降りたところで軽く金属の擦れ合う音が聞こえる。
「……何の真似かしら、雲母ちゃん?」
それは、雲母がスナイパーライフルを彼等へ向けた音だった。雲母は眼鏡の奥から目を細め、五人を見やる。
「……『照準』を合わせました。怪しい動きをしたら撃ちます」
受け渡しが最も油断しやすい瞬間だ。もし本当にこの中に裏切り者がいて人造触媒の奪取を目的とするならば直接行動に出るだろう。雲母はそれを警戒しているらしい。
「止めてよ、雲母ちゃん!」
林が雲母の前にたち、盾を構える。
「当然私を警戒していただいても構いません……林さんも、裏切り者が動いたら邪魔だけはしないで下さいです……はい」
「雲母ちゃん……」
鳴宮の顔は少し悲しそうだった。
「お待ちしておりました、特務遊撃隊の皆様」
重苦しい空気を打ち砕いたのは見知らぬ男の声。地下駐車場から建物に入る扉の前で一人の男が立っていた。肌や髪の色など全体的に淡く儚げな青年だ。額の星痕が特徴的である。
「あなたは?」
土御門が聞く。
「私は金枝の研究員、小ノ野メイジと申します。皆様をお迎えに上がりました」
メイジと名乗る青年は丁寧な口調で話しかけると扉へと体を向け、ついてこいと言わんばかりに自動扉を通っていく。
「な、なんか緊張してきたッス……!」
土御門を皮切りに全員がついていく。張り詰めた空気の中で林の言葉は少しばかり浮いてしまった。
金枝は、一言で喩えるなら現代の魔術、科学を盛り込んだ要塞だ。人造触媒を扱う機関故にその厳重なセキュリティは術機や中央警察病院以上である。何重ものロックが掛かった扉を通った先、メイジはとある一室のドアを軽くノックする。
「所長、私です。ようやく人造触媒が届きましたよ」
少々癇に障るメイジの言葉を置いて扉は開く。スライド式の扉の先では、老人のように背を丸めた女性が待ち構えていた。
「はぁ〜〜〜〜〜。よ〜やく来たみたいだねェ。私を誰か知ってるかい?触媒研究の専門家であり権威、眉目秀麗才色兼備たる緋連鼎だよほらそこスマホ持ってるならググると言いまあ最もここでは電波通信なんてできないけどねェ。まあとにかくそんな私の貴重な時間を徒に浪費した責任をどう取るのかなァ?」
女、緋連は失望を顔に描いたような表情でため息をつくと矢継ぎ早に責め立てる。性根がその背中と同じくらい曲がっていることがよく分かる。
「規定の時刻に些か遅れたことは誠に申し訳ありません。ですが道中、所属不明の魔術師集団に襲撃され、その対処に追われていました。ですがこの通り人造触媒は無事ですので悪しからず」
年長だけあって毅然とした態度で土御門は事の次第を説明すると人造触媒の入った箱を部屋中央にある机に置いた。
「まあいいよ。私とて君達のような無能魔術師または魔術師モドキに貴重な時間を費やしてまで調教してやる義理なんざないからねェ」
尊大な態度に思考回路が極めてシンプルな林は堪忍袋の緒がビリビリと音を立てて破けかけているほどに怒りを溜め込んでいたが鳴宮がそんな彼女を必死に抑える。
「それでは我々はこれで失礼します」
彼女の怒りが怒髪天に昇らぬうちに土御門は部屋を出ることにした。
「何なんスかあの猫背髪長美人さんは!!好き勝手言うにも程があるッスよ!!」
「そうだねぇ。いや本当何でああいう人達って軒並み変人ばっかりなんだろいやいや私が言うのもなんだけどね??」
「あんなのただのクレーマーみたいなもんでしょ。テキトーに聞き流しとけばいいじゃん」
緋連に対しての怒りを爆散させる林を鳴宮が落ち着かせようとしている。藍良は窓の外を眺めながら素っ気なく言葉を吐き出しては小さな溜息を溢す。
「でもあの人達がいるから私達は戦えるんです……はい」
先程までの警戒心はどこへやら、所長の個性にすっかり意気消沈した様子で雲母は最奥のシートにもたれかかっていた。
「……はい。かしこまりました。みんな、任務は完了だ。現地解散でいいそうだから」
携帯電話をしまい後部座席の彼女達へ話しかける土御門に、被せるように前を見ながらマリオンが笑みを作って言う。
「今夜は、飲むわよォ!!」
部屋たてました
部屋を建てました。
部屋を建てました。
今日は行けません(´。・д人)゙すみません
部屋を建てました。
今日は管理者側での部屋建てが難しいので、どなたか代理で建てて頂けると幸いです。
部屋たてました
部屋を建てました。
部屋を建てました。
部屋を建てました。
今日から4月2日まで行けなくなりました。
すみません。
部屋を建てました。
部屋を建てました。
部屋を建てました。
部屋を建てさせていただきました
部屋を建てました。
部屋を建てました。
部屋を建てました。
身内の看病で当分行けなくなります。
すみません。
部屋を建てました。
『いたんしゃたちのよふかし。』
第一話
「ん〜…。どうしたものかな。」
ここは館。独りごちる男はアクアリウムを見詰め佇み、何やら考え事をしているようだ。男の名は“宵待暁斗”。此処最近はアクアリウムがお気に入り。入り浸っては考え事に耽って、その白髪を湿り萎びさせている。今日もその真っ最中。普段は乱雑に跳ね絡まっている儘にしている頭髪が、今日はじっとり重たく縺れあっていた。其れだけ、長い時間を思考に費やしているということだ。
「ナニヲ〜?」
響く甲高い彼女の声が、男の鼓膜にぶち当たる。キィーン。なんてそんな生温いものでは無い。
「ギャンッ!」
台詞通りの衝撃が、脳を揺らして思考の全てを吹き飛ばす。釣られるみたいに飛び出して行った叫声は、素っ頓狂と表すのが良いだろうか。兎に角調子の外れた音の塊が部屋中をはね回っていた。
「ッ…ッ…えっと…エリザさん…でしたっけ…。なんですか…。」
業を背負った大罪人と言えども所詮人の子。突然、耳元でそんな声を届けられてしまえば動揺するのも当然である。と言うより、彼女は其れを分かっていてそうしたのであろう。見下ろして見ればそんな顔をしている。否、正確には表情なんて覗きこめやしないし、覗こうとした所で見える景色は灰色一色に違いないのだが、何故だかそんな気がする。驚き息を切らす自分の姿が、この状況が実に愉快だと。彼女の周囲を漂う雰囲気が何だかそう言っている。気がする。
「シゴトガオワッテ、ナントナクスズモウトオモッテココニキタノ…ソシタラアナタガイタノヨ。ソレデ、ナニヲナヤンデイタノ?」
彼女の声を聞き取りづらく思うのは、先の一瞬から聴覚が鈍り散らかしているおかげ…だけだろうか。でも、聞き返すのもなんだか怖く思えてしまったので、必死に彼女の言葉を噛み砕く。そうだ、確かに彼女はいつも館に居ない。だから、彼女に声を掛けられる等微塵とも予想していなかった。身構えていなかった。だからこそ驚きが大きくなったとも言えるのだ。そうだ、だから変な声を上げてへっぴり腰になったのも仕方が無い事なのだ。
「い、いや…ただ、余り眠れなくてさ。大したことじゃあないのだけど…。」
こんなにレアな人に、態々足を止めてもらったのに。声を掛けて貰えたのに。自分の悩みがちっぽけすぎる気がして、男は控えめな声で、漏らす様に言った。聞き逃してくれたって構わないし、こんなことを言われたって彼女が困るだけだろう。もっと建設的な、面白い話題を提供しなければ…。そうして思考を巡らせてみるけれど、度重なる不眠と先程の残響に思考速度が鈍っているままで…どうにも纏まらない。
「コモリウタデモウタイマショウカ。」
「はい?」
思わず間髪入れずに聞き返してしまった。突拍子の無い提案に、思考回路が負荷に耐えきれずショートしてしまいそうだ。彼女は何を言っているんだ?自身の耳が完全に破壊されていないなら、子守唄などと口にしたはずだ。…やっぱり何を言っているんだ?確かに自分は幼く見られがちな童顔で、女性からは異性と思われない様な中性的な顔立ちだ。それは自分でも重々承知している。けれど、その内実は21歳の成人男性には違いない。その成人男性が、歳の差はあれど女性にあやされながら寝るなどとは、全く片腹痛い。なんなら両腹が痛い。
「ホラ、ドウゾ。」
此処は夜会だ。夜会の人間が、他者に媚び、あまつさえ甘やかして貰うだと?そんな事が許される筈が無いだろう。無いだろう、けれど。そんな判断さえも次第に失せていった。兎に角眠れるなら、それでいいのかもしれない。本当の母は与えてくれなかった、温もりというものを。今日くらいは誰かに求めたって…。おあつらえ向きに、水槽に向かい合うよう設置されたベンチに腰を下ろした。鈍る思考を投げ捨てて、彼女がポンポンと柔く叩いた膝の上へと、頭を乗っけてみる。膝枕というやつだ。物理的な意味で固い印象を与えてばかりいる彼女であっても、膝は普通に柔らかかった。しかし灰色の箱に見下げられながら眠るだなんて、こんなに稀有な体験をする人は居るだろうか。自分は全く運がいい。そう思いながら、彼女の息遣いを聞いて…漸く悪夢を見ずに眠れるのかもしれない。と、瞳を閉じきっていた。
「ワァァァッ!!」
「ギャンッ!」
この日、ボクは耳鼻科に行った。
部屋を建てました。
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大変わたくし事で恐縮ですが
本日をもって当也を抜けさせて頂くことに致しました
事前の相談もなく、突然のご報告となってしまい大変申し訳ありません
尚キャラ同士の関係性につきましては皆様の判断に委ねますと共に、約束を果たす事叶わず、併せて謝罪申し上げます
今まで本当にありがとうございました
また別の機会でお会いすることがありましたら、宜しくお願い致します
部屋を建てました。
@白詰草
脱退の件、了承致しました。
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